ディズニー最新作映画「ズートピア」観てきましたので感想書きます。
ファンシーなアニマル映画かと思いきやかなり重厚な社会派映画だったよ!でも基本は明るく楽しくモフモフだよ!
あらすじ
動物が人間のように暮らす大都会、ズートピア。誰もが夢を叶えられる人間も顔負けの超ハイテク文明社会に、史上最大の危機が訪れていた。立ち上がったのは、立派な警察官になることを夢見るウサギのジュディ。夢を忘れたサギ師のニックを相棒に、彼女は奇跡を起こすことができるのか…?
予告編

感想(ネタバレなし)
ここ数年、個人的3Dアニメランキングが変動しています。
ずっとトップに君臨し続けていた「ヒックとドラゴン」。その完成度の高さに衝撃を受けて以来、ちょくちょく3Dアニメを見ましたが「ヒックとドラゴン」を上回る映画はありませんでした。
その王座を奪ったのが「ベイマックス」。そして「ズートピア」は「ベイマックス」に勝るとも劣らない傑作でした。純粋に楽しめるアニマル映画だと思ったら全然違ったけど。
動物を題材にした3Dアニメ映画は数多くありますが、ほとんどは動物の世界での出来事を描いています。それらに対して「ズートピア」は人間社会を忠実に再現した世界。携帯や車、キーボードなどの小物から街中の看板まで実物のオマージュがたくさん。モノだけじゃなくカルチャーも人間社会とほぼ同じ。有名人の強い影響力、団体職員のノロマな仕事ぶり、警察に対する市民の態度とかの再現度すごい。その辺が後々効いてくるんですよね。
ストーリーはマジメなウサギ警官とキレ者キツネ詐欺師の王道バディムービーです。
ウサギが上京してキツネと出会うまでは少し退屈な展開でしたが、視覚的にはまったく飽きませんでした。大都会ズートピアの美しい情景と細部まで作り込まれた設定、多様な動物が暮らす様子は相当なお金と時間をかけて作りこんだんだろうな、という完成度。
緩急つけた笑いもはさみつつストーリーは進むんですが、気づけば現実と同じくらい生々しい社会問題が浮き彫りにされます。
具体的には差別と偏見、ドラッグ、歪んだ政治と報道、簡単に操作される世論って感じでしょうか。
これらの問題は、上に書いた大都会ズートピアの完成度によってハンパなくリアルに。それでいて動物たちのモフモフ感がダークさを緩和します。
そのへんのバランスがホント絶妙。登場動物がみな加害者にも被害者にもなるフェアさも好感が持てます。
子どもも大人も楽しめる映画でした。
感想(ネタバレあり)
「アナ雪」「ベイマックス」とノリにノってるディズニー映画。ファンタジー寄りかぁ、と思った「ズートピア」はフタを開けたらかなりの社会派映画。ディズニー映画はまた1つレベルを上げたなぁ、という印象です。
本国アメリカでもウケたようで、初日の興行収入は「アナ雪」を抜いてトップに。
映画批評サイトでの評価もバツグンに高いです。ロットントマト99%、IGN90%。ジブリ鈴木敏夫Pもおハマりになったご様子。
べた褒め評価は世に満ち溢れると思うので、ここではちょっとひねって「ズートピア」を見てみます。
僕はこの映画を見て、ディズニーめちゃくちゃ挑戦したなぁ、という印象を受けました。その理由は「人間は単に理性を持っただけの動物にすぎないんだよ。そんで今のままだと動物以下だよ。」という強いメッセージを感じたからです。キリスト教原理主義の人とかマジギレしそう。
冒頭の劇で「草食動物と肉食動物が共存する世界」という設定が解説されます。進化して理性を得たからですね。
「ズートピア」には猿、犬、猫、鳥はいません。雑食だから?と思いましたが、それと同時に”いろんな意味で人間を連想させる”動物でもあるんですよね。人間を一切感じさせない世界観にもかかわらず、そこで起こる社会問題は人間が直面しているものとほぼ同じ。
少しうがった見方かもですが、「人間は神が作ったものなんかじゃなく、動物が理性を持って進化した存在なんですよ。」という主張を感じました。そしてその主張はさらに強いものに。
映画内で語られる代表的な問題が偏見・差別です。「肉食」vs「草食」が主な構図。
人間に置きかえると人種差別でしょうか。それだけでなく、ウサギは警官に向かない、ずるいキツネは信用されず裕福になれない、といった能力・階級・職業に対する偏見・差別などにも言及されているのが巧みなところ。
主人公2匹の活躍によって肉食動物に対する偏見は無くなり、よりよい世の中になりました。
翻って人間社会はどうでしょう?差別・偏見の存在は一般に周知され、それらを無くす運動も多く見られるようになりましたが、解決に結びついた例はまだありません。「このままだとお前ら人間、動物以下やで。」と言われている気がしてなりませんでした。
理性をなくすドラッグ、市長と副市長が互いの足を引っ張り合う政治、不必要にヒーローを祭り上げ過剰に不安を煽る報道、それらにまんまと振り回されまくる世論。これらが偏見を露わにした原因なんですが、まんま人間社会ですよねぇ。
本当の意味で人間が「動物」から脱却する日は来るのでしょうか?
相変わらずディズニーが抜け目ないなぁ、と思うのは物販関係。映画中、一番役に立つのはウサギの耳でも足でもなく「ペン型盗聴器」なんです。
監督のインタビューでもめっちゃ推してました。さすがです!
ディズニーランドに並ぶのはいつになるかな?
…なんか資本主義社会への批判みたいな感じになっちゃいました。最後に、「ズートピア」の1番の見どころはズバリ、モフモフ感です。
ウサギの繊細なモフモフ、キツネの流れるようなモフモフ、シロクマの豪快なモフモフ、オオカミの攻撃的なモフモフ、ライオンのゴワゴワなモフモフ、ナマケモノのアンニュイなモフモフ、ヒツジのふわふわとしたモフモフ。
ディズニーの神は細部に宿る感ってホントスゴイですよね。
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